【設計図あり】巣箱で庭に野鳥を呼ぼう!作り方と設置方法について

こんにちは、キープランツの野口です!

自然と繋がっている庭には、実に様々な生き物がやってきます。その中でも、小鳥は癒し系の存在として根強い人気があります。さえずりや水浴び、餌をついばむ様子等を見ると、なんだか心が和みますよね。

野鳥を呼ぶ仕組みとしては、餌台やバードバスも良いですが、巣箱を設置すると子育ての様子を観察することもできます。 庭から野鳥が巣立ったら感動すること間違いなしではないでしょうか?

今回は、そんな巣箱作りについて、実際に制作して庭に設置した経験を元に解説していきます。

この記事は以下のような人におすすめ!

  • 巣箱の作り方を詳しく知りたい
  • 巣箱の設置方法を知りたい
  • 野鳥用巣箱の設計図が欲しい

製作のポイントとしては、対象の野鳥に合わせた入口の大きさと、天敵が近寄りにくい設置場所を選ぶ事が特に重要です。

また、巣箱作りは自然の生き物が相手です。野生の気持ち(?)になって作りましょう!

それでは、どうぞ!

巣箱の基本

樹洞に巣を作ったスズメ
サクラの樹洞(ウロ)に巣を作ったスズメ

巣箱を利用するのはどんな鳥?

巣箱は樹洞(じゅどう:樹木の幹に空いた穴や空洞)を人為的に再現したものです。鳥は種類によって巣のタイプが異なり、巣箱を利用するのは樹洞や狭い隙間を好んで巣を作るタイプです。

小型の種類では、主にスズメ、シジュウカラ、ヤマガラ、ヒガラ、中型の種類では、ムクドリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、コノハズク、大型の種類ではフクロウ、アオバズク、ブッポウソウ、オシドリ等が挙げられます。哺乳類では、ムササビやリスも巣箱を利用する事が知られています。

この中で、市街地の庭でも成功しやすいのはシジュウカラです。

以下の写真は私が管理している庭に設置していた巣箱です。3年連続でシジュウカラが巣立った実績があり、子育て世代に人気の優良物件です。

以前作製した巣箱
シンプルな外観の巣箱。推定で延べ10羽以上が巣立った。
巣立った後の巣箱の中
巣立ち直後の中の様子。コケやシュロの繊維、動物の毛が敷かれている。

一度だけ巣立ちの瞬間に立ち会う事ができ、懸命に飛び立つ幼鳥の姿に胸が熱くなりました。

木材が痛んできたので、この機会に新しく作り直してみたいと思います。

巣箱の制作

巣箱の設計図

巣箱の設計図
巣箱の設計図

今回は生息数が減っていると言われるスズメを想定して作図してみました。シンプルで作りやすい片流れ屋根の構造です。

なお、手に入った板の厚さ(25mm)に合わせて書いた図面ですので、板厚が異なる場合は、部材E(底面)のカット寸法を調整してください。(計算式:板幅 - 板厚 × 2 例:180- 25 × 2=130)

なお、他の野鳥を呼びたい場合は、以下の表を参考にアレンジしてみましょう。基本的な構造はほとんど同じです。穴の直径やサイズ感がポイントになります。高さと幅・奥行は目安程度とし、多少違っても問題ありません。

野鳥の種類穴の直径
(cm)
底面から穴
までの高さ
(cm)
高さ
(cm)
幅 ・奥行
(cm)
設置高
(m)
ヒガラ漂鳥2.71520~24151.5~2.5
シジュウカラ留鳥2.81520~24151.5~2.5
ヤマガラ留鳥2.81520~24152.5
スズメ留鳥3.01824~28183
ムクドリ留鳥5.51824~28183
コムクドリ夏鳥5.51824~28183
セキレイ留鳥全面開放624162.5
アオバズク夏鳥113045255
フクロウ留鳥154060405
表1:巣箱の大きさの目安

参考:巣箱づくり資料 東北森林管理局(外部サイト)

巣箱作りに必要な材料

巣箱の材料
巣箱の材料

巣箱の材料一覧

用意するのは、以下の材料です。

  • 木の板(杉や桧の無垢材)
  • ビス(又は釘)
  • 蝶番、留め具
  • シュロ縄

木の板(杉や桧の無垢材)

主要な材料として、木材の一枚板を用意します。金具やビスを打つ都合で、厚みは12mm以上あると良いです。

今回は杉の野地板(寸法:幅180mm×厚み25mm×長さ1820mm)を用意しました。杉材は軽くて加工性も良く、巣箱向きの材料です。SPF材 (1×8)も利用できますが、耐久性が低く、やや割れやすい印象です。

ベニヤ板やパーティクルボード、MDFのように、合板や集成材の類は水を含むと劣化しやすいため、巣箱の素材には向きません。

ビス(又は釘)

部材の固定に使用します。錆びても支障は無いので、鉄やメッキの製品でOKです。スリムビスは木材が割れにくいのでおすすめ。釘なら抜けにくいスクリュー釘が良いです。

目安として、板厚の2~3倍の長さのものを用意します。

蝶番、留め具

蝶番により屋根が開閉可能になり、観察や掃除の際に便利です。ロックできる留め具も合わせて使います。

可動部なので、錆びにくいステンレス製がおすすめです。

シュロ縄

シュロ縄とは、シュロの木から採れる丈夫な繊維を縄状に編んだもので、本来は樹木と支柱を結ぶためのものです。巣箱を取付ける際に使用します。

針金も使えますが、放置すると幹に食い込む恐れがあるため、なるべく使わない方が良いです。また、麻縄は腐って切れやすいので避けましょう。

巣箱作りに必要な道具

巣箱製作に使う道具
巣箱製作に使う道具

使用する道具一覧

用意するのは、以下の工具類です。

  • ノコギリ
  • 電動ドリル
  • 穴あけ用工具
  • プラスドライバー

ノコギリ

板のカットに使います。巣箱をたくさん制作する場合は電動の丸ノコを使うと早いです。

ケガをしないよう気を付けて使いましょう。

電動ドリル

ビスを打つために使います。釘で固定する場合は、代わりに金づちを用意してください。

電動ドリルは穴あけ用の特殊ビットを使う際にも活躍します。

穴あけ用工具

入口の穴を開けるための道具が必要です。

いくつか方法がありますが、電動ドリルに取り付けられる専用のビットが便利です。

ドリルが無い場合、引き回しノコギリや、コッピングソー(手動の糸ノコ)等で代用します。

プラスドライバー

蝶番等の金具を取り付ける際に使用します。

巣箱作製のポイント

作製の前に、ちょっとしたポイントをお伝えします。

制作のポイント!

  1. 穴の大きさとサイズ感が決め手
  2. 入口(穴)付近への止まり木は不要
  3. 表面の仕上げは無しでOK

穴の大きさとサイズ感が決め手

入口の穴の大きさと、底面からの高さは巣箱に入る鳥の種類に影響します。寸法をきちんと測って、間違えないように加工しましょう。

入口(穴)付近への止まり木は不要

親鳥は直接入口の穴に飛んできて、中に入る事ができます。天敵の足場にならないよう、止まり木はつけない方が無難です。

表面の仕上げは無しでOK

木材表面の塗装や研磨(ヤスリがけ)は特に必要ありません。なるべく自然に近い状態がベストです。

匂いのきつい塗料や、防腐剤等を使ってしまうと、野鳥が嫌がって利用しない可能性があります。どうしても防腐効果を高めたい場合は、ガストーチで表面を炭化させる方法があります(いわゆる焼杉)。

巣箱の製作手順

それでは、作製の流れを見ていきましょう。

板材にカット位置の線を引く
板材にカット位置の線を引く

割付け

板材にカット位置の線を引きます。

板材をノコギリで切る
板材をノコギリで切る

部材をカット

線に沿って切っていきます。少しくらいなら曲がっても大丈夫!

入口の穴を開ける
入口の穴を開ける

入口の穴あけ

野鳥の種類を左右する大事なポイント!穴の大きさを良く確認すべし!

シュロ縄を通す穴を開ける
シュロ縄を通す穴を開ける

シュロ縄を通す穴を加工

固定用のシュロ縄を通すため、穴を上下2か所づつ、計4か所空けます。直径は8mm程度あると通しやすくなります。

底板の水抜き穴を加工
底板の水抜き穴を加工

底板の水抜き穴を加工

中に雨水が入った場合の対策です。底板に小さな穴を数か所開けます。穴開けの代わりに、板の四隅を少しカットしてもOK。

巣箱の組み立て
巣箱の組み立て

組み立て

パーツが揃ったら、いよいよ組み立てです!決まった順番はありませんが、背面の板に側面(左右)、底面、前面、屋根の順に取り付けていくと作業しやすいです。

完成した巣箱
完成した巣箱

シュロ縄を通して完成!

固定用の穴にシュロ縄を通します。シュロ縄の長さは取り付ける幹の直径の4~5倍以上にしておきます。(※写真では、後回しにしています。)
これで制作は完了です。お疲れ様でした!

巣箱の設置

それでは設置してみましょう!

巣箱設置のポイント

設置にもいくつかポイントがあります。

設置のポイント!

  1. 地面からの高さ
  2. 巣箱に適した場所
  3. 設置時期

地面からの高さ

基本的には、人が手を伸ばしても届かない高さ(2.5m以上)が良いです。野鳥の種類によっては、もっと高い場所でないと利用しません。以下の表2(表1の抜粋)を参考に設置場所を決めましょう。

野鳥の種類地上からの設置高さ
(m)
ヒガラ漂鳥1.5~2.5
シジュウカラ留鳥1.5~2.5
ヤマガラ留鳥2.5
スズメ留鳥3
ムクドリ留鳥3
コムクドリ夏鳥3
セキレイ留鳥2.5
アオバズク夏鳥5
フクロウ留鳥5
表2:巣箱の設置高さ

巣箱に適した場所

天敵が近づきにくい環境を好むため、巣箱は見通しが良く開けた場所にかけます。具体的には、下方に枝が無く真っすぐ立った樹木で、巣箱の周囲に枝や構造物が無い方が良いです。なお、方位は関係ないようです。

木の又に乗せるよりも、幹に沿わせるだけの方が好まれます。

設置時期

親鳥は巣箱の内見に来ます。繁殖時期の少し前までに設置してきましょう。

留鳥の場合は冬(12月~1月頃)、夏鳥の場合は春(3月~4月頃)が適期です。

巣箱の設置手順

位置が決まったら取り付けていきましょう。

脚立や梯子の設置

脚立(又は梯子)を準備し、安定した場所に据えます。

樹木等に固定

上下に通しておいたシュロ縄を結んで樹木の幹に固定します。脚立や梯子を使う際は、落ちないように気をつけましょう。(必要により安全帯等で墜落防止措置を行ってください。)

巣箱にまつわる疑問あれこれ

疑問になりそうな事をまとめてみました。

フタを開けて観察しても平気?

中を見たい気持ちはとっても良くわかりますが、子育て中は我慢してそっと見守りましょう。

フタを開ける事は雛にとってストレスになります。また、親鳥を驚かすと、子育てを諦めてしまう可能性もあります。

どれくらいの期間、子育てするの?

種類によって異なりますが、シジュウカラの場合、巣作りから巣立ちまで2か月弱でした。意外に短い印象です。期間の長いものでも、フクロウで100~130日と言われています。

ヒナの子育て中のフンはどうなるの?

シジュウカラの場合ですが、巣箱の中や下がフンで汚れることはありませんでした。天敵対策なのか、親鳥が巣から遠くへ運んで行く様子が観察できました。

子育て中、鳴き声はするの?

巣作りから産卵までの期間は、巣箱の周囲で親鳥のさえずりが聞こえます。

子育て中は、通常は静かで、ひなが育ってくるとピヨピヨと小さな鳴き声が聞こえます。ただし、巣が天敵に襲われた時は様子が一変し、親鳥が威嚇し騒ぎ立てます。

設置場所は、近隣のお宅からなるべく離した方が良いと思います。

巣立った後の巣箱はどうする?

木から外して、親鳥が集めた繊維等の素材は処分します。巣箱本体は一度ざっと水洗いし、その後は雨の当たらない場所に保管しておけば、翌年も使えます。固定に使ったシュロ縄は新しい物に交換します。

どんな天敵がいるの?

市街地における主な天敵はネコ、ヘビ(特にアオダイショウ)、カラスが挙げられます。開けた場所で、天敵の足場になる物が少ない場所へ設置する事が天敵対策となります。それでも、襲われてしまう事がありますが、自然の厳しさも受け入れて温かく見守りましょう。

まとめ

以上、野鳥の巣箱についてご紹介しました。今回の内容をまとめると以下の通りです。

内容のまとめ

  • 入口の穴の大きさは野鳥の種類を左右する
  • 止まり木や塗装は必要なし
  • 設置場所は、天敵が近づきにくい場所を選ぶ
  • 野鳥の子育ては、自然に任せて温かく見守る

近年、ツバメやスズメといった身近な野鳥の生息数が減少傾向にあるとも言われます。対象範囲は限られますが、巣箱は野鳥の生息数回復に一定の効果が期待できます。

巣箱をきっかけに、子供向けの教育的な効果や、持続可能な社会づくりに繋がる事も期待できます。間伐材や建築廃材が活用できれば更に良いですね。生物多様性の観点でも、野鳥が増える事は害虫を食べてくれたり、生態系ピラミッドのバランスを保つ効果があると考えられます。

巣箱作りは、人と自然が共存できる持続可能な未来のために、私たちにできる事の一つかもしれません。

広いお庭のある方や、緑地をお持ちの企業様、巣箱を設置してみてはいかがでしょうか?

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